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「生きている」こと

こんばんは、
チャイルドサイエンスコミュニケータ
まいちこと坂倉真衣です。

早いもので5月も明日でおしまいですね!
少しずつじめじめとした気になり始めましたが
雨の日も雨合羽に長靴で♩
ピチピチちゃぷちゃぷらんらんらん♩、と楽しく過ごしたいものです。


******

今日は科学絵本ではないですが、
最近読んだ本のご紹介です。

NTT出版から出ている「やりなおしサイエンス講座」シリーズの
『「生きている」を考える』です。

1



著者は分子生物学者の中村桂子さん。
大阪の高槻市にあるJT生命誌研究館の館長を勤められている方です。

(JT生命誌研究館には昨年度行きました。その話はまたいつか...)


中村桂子さんと言えば、私が初めて出会ったのは
確か小学校のときの国語の教科書。
断片的にですが、DNAという聞き慣れない言葉を通して
長い生命の連続の中で今私たちが生きているのだという感動、
(なんてスケールの大きな話なんだ、という感動)が
子どものときの私の心にも深く残っているように思います。

そして、中村桂子さんは、
いま私が研究をしている「サイエンスコミュニケーション」ということについても
おそらく日本で最初に唱えられた方です。

この本では、
中村桂子さんが、分子生物学から「生命誌」を考えるに至った経緯や、
「私が知りたいのは世界なのだ」という言葉のように科学研究を
すぐに「役に立つ、役に立たない」ではなく、もっと根本から考え、
地道に進める必要があることなどが述べられています。

「学問の“危機”は、学問が生に対する意味を喪失したところにある」という文章には、
本当にはっとさせられますね。

生命誌(生命「学」ではなく「誌」なのです)は、
社会の中での科学をより日常に根ざした学問にすることを求め
新しい自然観、人間観を探るために考えられたあらゆる分野が融合した新しい学問体系です。

私も高校生に生物を教えていてしみじみ感じますが、
生物学はやはり「生きている」を考え続ける学問なんだと思います

答えがあるのかなんてわからない
答えなんて到底出るはずなんてないのかもしれない

(自然について知れば知る程
知らないことに気づくというようなこともこの本の中で語られています。
おそらくこれは問い続けるための問いなのでしょう、とも。)

ただこの問いをもって考えつづけることで、
すごく広い目で地球上の出来事を捉えられるようになったりだとか
ほかの生き物への敬意だったりとか、
人間が、自らが「生きていくこと」についての示唆を
与えてくれるものになるのではないかと思います。

その問いを問い続けるのに大切なのは
「驚き」「子ども性」

きれいなものに感動したり、
不思議なことに驚いたり、
そんな単純なことこそ、すごく大切で
でも、単純だからこそ持ち続けることはすごく難しくて、

そんな単純なことを共有しつづけられる
文化としての科学•日常の中の科学を問い続けて行きたいし、
「生活」の中で、少なくとも「生活」に戻せる形で
問われて行くべきなのだと改めて考えさせられました。

3.11以降何かができる訳でもなく、
科学教育に携わる1人として、
ただ色々と漠然と考える日々を送ってきましたが、
そんなときに、そんなときだからこそ出会ってよかったと
心から思える一冊です。

生き物たちを見つめるところから、生命とは何か、
生きているとはどういうことかについて考え、
自分なりに納得のいく世界観をもちたいのです。
このようにして自分なりに探し出した世界観について、
生きものを研究する仲間はもちろん、あらゆる人々と語り合うことで、
皆が生きやすい社会のありようを考えたいのです。

このような形で社会との関わりがもてたら幸せです。
科学と社会というテーマは、ここにあるのではないでしょうか。
「生きている」を考える/中村桂子 序章より


ここで話されている「皆」ということばが
すごくずっしりと私の心の奥に入ってきます。

もう一度、原点に立ち返ること、基本に立ち返ることから
考えることが必要なのではないでしょうか。




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